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見覚えのある黄色と赤のロゴマーク。でも、良く見ると何かが違う・・・。ファミリーレストランの「デニーズ」そっくりの商標を使ったとして、「不正競争防止法違反」の疑いで、デリバリーヘルス店「デリーズ」の経営者らが、6月11日に逮捕された。

問題とされたロゴは、色や形がデニーズのロゴと酷似している。デニーズでは「Denny's」「レストラン」などと書かれている部分が、「男の息抜きスポット」「DeLiy's」などという表記になっているのだ。報道によると、この「そっくりロゴ」は、昨年5月中旬から今年6月にかけて、デリヘル店のサイトなどで使われていた疑いが持たれている。同店は主に長野県内で営業をしていたという。

だが、ロゴが似ているからといって、レストランと風俗店を間違える人はいなさそうだ。また、店の名前も似てはいるものの、区別がつかないほどではない。「不正競争」とされるチェックポイントは、どこにあるのだろうか。たとえば、ロゴの色や形が少し違えば、大丈夫だったのだろうか? 知的財産権にくわしい岩永利彦弁護士に聞いた。

●「ブランドそのもの」に財産的価値がある
「今回経営者が逮捕された理由は、客を混同させたというのではなくて、いわゆる著名表示冒用行為(不正競争防止法2条1項2号)に当たるとされたからでしょう」

その「著名表示冒用」というのは、いったい何だろうか?

「いろいろなケースがありますが、典型的には『有名ブランドそっくりの商品名を使う』ような場合ですね。

有名ブランドの場合、そのロゴや名前自体に高い信用・名声・評判といった『財産的価値』があります。これは、そういった価値を守るためのルールです」

たしかに、全国展開している「デニーズ」なら、ブランドとしての価値も高いだろう。しかし、今回問題となったのは風俗業で、レストランとは全く異なる業種だ。その点は関係ないのだろうか。

「たとえ違う業種であっても、ブランドにタダ乗りされたり、意図しない形で利用されたりすれば、ブランドの価値が下がりかねません。そのため、レストランと風俗店のような、似ていないサービス間の場合でも『冒用』になるのです」

今回のようなケースでは、「ブランドの価値」そのものが重要となっているわけだ。

●「『Denny's』の表示を容易に連想できる」
ロゴの表示がどこまで似ていたらダメなのだろうか?

「判断のポイントは、外観・呼び名の印象や記憶、連想などによって、取引相手が二つの表示を全体的に類似のものだと受け取るおそれがあるかないかです。

本件でも、たしかに、よく見れば、スペルは『Denny's』と『DeLiy's』とで異なります。しかし、表示の外観は非常によく似ています。お客さんは著名な『Denny's』の表示を容易に連想するのではないでしょうか」

ぱっと見の印象が明らかに違えば、同じ「DeLiy’s」という店名でも、大丈夫だった可能性もある?

「もし、ロゴが著名な「Denny's」の表示を想起できないくらい、色も形も全く違ったのであれば、摘発されることは無かったと思います。ただ、そうすると、目立つことも無かったでしょうから、営業目的には叶わなかったのでしょう」

経営者からすれば、ちょっとしたパロディのつもりだったのかもしれないが・・・。

「たとえば芸術やエンターテインメントとしてなら、パロディが許容される場面もあるでしょうが、営業目的でのタダ乗りを情状酌量してくれる可能性はほとんどありません。今回の摘発はやむを得ないと考えます」

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
岩永 利彦(いわなが・としひこ)弁護士
ネット等のIT系やモノ作り系の技術法務、知的財産権の問題に詳しい。メーカーでのエンジニア、法務・知財部での弁理士を経て、弁護士登録した理系弁護士。
事務所名:岩永総合法律事務所
事務所URL:http://www.iwanagalaw.jp/